トップへ戻る 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律 (目的) 第1条 この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性にかんがみ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利の擁護に資することを目的とする。 (定義) 第2条 この法律において「児童」とは、18歳に満たない者をいう。 2 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。 1 児童 2 児童に対する性交等の周旋をした者 3 児童の保護者(親権を行う者、後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者 3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、ビデオテープその他の物であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。 1 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したもの 2 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの 3 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの (適用上の注意) 第3条 この法律の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。 (児童買春) 第4条 児童買春をした者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。 (児童買春周旋) 第5条 児童買春の周旋をした者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。 2 児童買春の周旋をすることを業とした者は、5年以下の懲役及び500万円以下の罰金に処する。 (児童買春勧誘) 第6条 児童買春の周旋をする目的で、人に児童買春をするように勧誘した者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。 2 前項の目的で、人に児童買春をするように勧誘することを業とした者は、5年以下の懲役及び500万円以下の罰金に処する。 (児童ポルノ頒布等) 第7条 児童ポルノを頒布し、販売し、業として貸与し、又は公然と陳列した者は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。 2 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。 3 第1項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。 (児童買春等目的人身売買等) 第8条 児童を児童買春における性交等の相手方とさせ又は第2条第3項第1号、第2号若しくは第3号の児童の姿態を描写して児童ポルノを製造する目的で、当該児童を売買した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。 2 前項の目的で、外国に居住する児童で略取され、誘拐され、又は売買されたものをその居住国外に移送した日本国民は、2年以上の有期懲役に処する。 3 前2項の罪の未遂は、罰する。 (児童の年齢の知情) 第9条 児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、第5条から前条までの規定による処罰を免れることができない。ただし、過失がないときは、この限りでない。 (国民の国外犯) 第10条 第4条から第6条まで、第7条第1項及び第2項並びに第8条第1項及び第3項(同条第1項に係る部分に限る。)の罪は、刑法(明治40年法律第45号)第3条の例に従う。 (両罰規定) 第11条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第5条から第7条までの罪を犯したときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。 (捜査及び公判における配慮等) 第12条 第4条から第8条までの罪に係る事件の捜査及び公判に職務上関係のある者(次項において「職務関係者」という。)は、その職務を行うに当たり、児童の人権及び特性に配慮するとともに、その名誉及び尊厳を害しないよう注意しなければならない。 2 国及び地方公共団体は、職務関係者に対し、児童の人権、特性等に関する理解を深めるための訓練及び啓発を行うよう努めるものとする。 (記事等の掲載等の禁止) 第13条 第四条から第八条までの罪に係る事件に係る児童については、その氏名、年齢、職業、就学する学校の名称、住居、容貌等により当該児童が当該事件に係る者であることを推知することができるような記事若しくは写真又は放送番組を、新聞紙その他の出版物に掲載し、又は放送してはならない。 (教育、啓発及び調査研究) 第14条 国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの頒布等の行為が児童の心身の成長に重大な影響を与えるものであることにかんがみ、これらの行為を未然に防止することができるよう、児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。 2 国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの頒布等の行為の防止に資する調査研究の推進に努めるものとする。 (心身に有害な影響を受けた児童の保護) 第15条 関係行政機関は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、相互に連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適切に講ずるものとする。 2 関係行政機関は、前項の措置を講ずる場合において、同項の児童の保護のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、相談、指導その他の措置を講ずるものとする。 (心身に有害な影響を受けた児童の保護のための体制の整備) 第16条 国及び地方公共団体は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童について専門的知識に基づく保護を適切に行うことができるよう、これらの児童の保護に関する調査研究の推進、これらの児童の保護を行う者の資質の向上、これらの児童が緊急に保護を必要とする場合における関係機関の連携協力体制の強化、これらの児童の保護を行う民間の団体との連携協力体制の整備等必要な体制の整備に努めるものとする。 (国際協力の推進) 第17条 国は、第4条から第8条までの罪に係る行為の防止及び事件の適正かつ迅速な捜査のため、国際的な緊密な連携の確保、国際的な調査研究の推進その他の国際協力の推進に努めるものとする。 附 則 (施行期日) 第1条 この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 (条例との関係) 第2条 地方公共団体の条例の規定で、この法律で規制する行為を処罰する旨を定めているものの当該行為に係る部分については、この法律の施行と同時に、その効力を失うものとする。 2 前項の規定により条例の規定がその効力を失う場合において、当該地方公共団体が条例で別段の定めをしないときは、その失効前にした違反行為の処罰については、その失効後も、なお従前の例による。 (風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部改正) 第3条 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)の一部を次のように改正する。 第4条第1項第2号中「第2章に規定する罪」の下に「、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)に規定する罪」を加える。 第30条第1項、第31条の5及び第31条の6第2項第2号中「若しくは売春防止法第2章に規定する罪」を「、売春防止法第2章に規定する罪若しくは児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律に規定する罪」に改める。 第35条中「又は第175条の罪」を「若しくは第175条の罪又は児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律第7条の罪」に改める。 (旅館業法の一部改正) 第4条 旅館業法(昭和23年法律第138号)の一部を次のように改正する。 第8条中「基く」を「基づく」に、「第3条第1項」を「同条第1項」に改め、同条に次の一号を加える。 4 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)に規定する罪 (暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部改正) 第5条 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)の一部を次のように改正する。 別表第31号の次に次の一号を加える。 31の2 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)に規定する罪 (検討) 第6条 児童買春及び児童ポルノの規制その他の児童を性的搾取及び性的虐待から守るための制度については、この法律の施行後3年を目途として、この法律の施行状況、児童の権利の擁護に関する国際的動向等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。 |