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2002年1月17日
篠山市人権・同和教育研究協議会
         会 長  倉 垣  久 様

住民学習検討委員会   
    会 長 丸山 好一


任民学習検討委員会答申
前   文
 
 2001年9月17日篠山市人権・同和教育研究協議会会長は本委員会に対して「合併後の実効ある住民学習の在り方」について諮問された。

 1966年に同対審答申によって「同和問題の解決は、行政の責務であり国民的課題」として位置付けられた。その後、1996年5月に出された地対協意見具申では「同和問題は過去の課題ではない。この問題の解決に向けた今後の取り組みを人権に関わるあらゆる問題の解決につなげていくという、広がりをもった現実の問題である。そのような観点から、これまでの成果を土台にし、従来の取り組みの反省を踏まえ、未来に向けた新たな方向性を見極めるべき時にさしかかっている」と指摘し、さらに同和問題の解決をあらゆる人権問題の解決に結合・発展させていくことの重要性を示した。

 また、「人権の世紀」を迎えるにあたり200年12月にわが国では初めての人権に関する法である「人権教育及び啓発の推進に関する法律」を制定し、「人権教育と啓発を地方公共団体の責務、人権尊重の精神の涵養と人権が尊重される社会づくりを国民の責務」としたところである。

 しかしながら、残念なことに今なお篠山市において部落差別をはじめとする人権侵害が発生している。そのような状況を踏まえ、「差別の現実」に深く学びながら、地対協意見具申の指摘のように「従来の取り組みの反省」を厳しく見つめ「未来に向けた新たな方向性」を明らかにしなければならないと認識するものである。

 したがって、討議もきわめて真剣・真摯であり、委員会を4回実施した。篠山市人権・同和教育研究協議会においては、本答申を尊重し、地域住民、各種団体、行政等々との協議・合意を重ね、住民学習を有効適切に方向づけされるよう期待する。

本  文


1.学習テーマと実施回数について
 旧町同教では、先人の血と汗の努力により30年余にわたって部落差別の根絶を核にして人権問題の解決に向けた学習活動が展開されてきた。合併して、市同教は「部落差別の速やかな解消と女性、障害者、在住外国人、民族差別など一切の差別をなくするとともに、市民一人ひとりが人権感覚を培い、人権を尊重する地域づくり」を基本方針にして学習活動に取り組んできたが、学習方法のあり方や実施回数等について見直す必要がある。

 よって、所期の目的を達成するために、原則として、自治会ごとに年間2回以上は実施することとし、「何が差別であるか」の気づきを中心にした学習プログラムを組み、全市民の共通認識の形成を図る(同一テ}マの設定)とともに、各自治会が抱える人権問題の解決に向けての学習が展開できるよう検討されたい。

2.参加者が主体的に学習していく方法について
 人権が尊重される社会づくりが求められているとき、参加者が主体的に考え、行動に繋げる学習会を展開していくことが重要である。参加者の固定化打破のために、また若い人たちの参加を促すためにも、自治会の人権・同和学習担当者との打ち合わせを密にしていくことが必要である。またそのためには、行政と協議して人権啓発推進員、学習推進員、自治会の人権・同和学習担当者等の研修会の統一と機会増が求められる。


3.差別の現実について
 「差別の現実」に探く学び、課題を解決していくためには、差別の実態・課題を明確にしていく必要がある。そのために、行政や関係諸団体と連携してそれぞれ人権問題の課題を掘り下げるプロジェクトチームを組織する必要がある。そして、その課題解決にむけた学習・啓発のあり方が打ち出されなければならない。

4.人権を重視するスキル(技能)の習得の学習について
 人権を尊重する社会づくりには、差別をなくするための具体的な行動につながるスキル(技能)の習得が大切である。つまり人とのコミュニケーションや協力のしかた、問題についての探求の方法、非暴力的な解決の力などが体得されていかなければならない。
 それは参加体験型・問題解決型学習等を通して体得されるものであり、リーダー養成と合わせて推進していくことが重要である。

5.住民学習と団体学習・地域学習の関係について
 住民学習参加者の固定化を見るとき、様々な年齢層で組織されている団体・企業の学習・小学校区単位などでの地域学習は重要な位置を占める。

 また、団体学習・地域学習の成果が地域・職場で生かされるよう、1で提議したような共通認識を図りつつ、それぞれのグループの課題に合わせた学習内容・方法等を工夫していくべきである。そのためには、各団体への支援も必要であろう。

6.組織と自治会の係(同和学習係)のあり方について
 住民学習の中核は自治会の人権・同和学習担当者であり、その人の意識、知識、技能等によって取り組みは変わってくる。そのリーダーの養成に力点をおくことが強く求められている現在、支部間で差異がある名称、依頼・任命、役割等において統一すべきである。改変にあたっては、自治会組織・行政と早急に協藷されたい。

7.行政職員の関わり方について
 人権・同和教育と啓発における行政の責務と行政職員としての使命や役割についての各種の研修が重要である。
 また、住民学習の場での役割について、自治会長、人権啓発推進員、自治会の人権・同和学習担当者との共通理解が必要であり、単なる推進役で終わるのではなく、主体的に学習に関わるべきである。

8.行政等との連携について
 住民学習についての情報交換と検討の場が必要である。その意味から、行政、教育委員会、自治会長等との定期的な会議を開催し、その在り方について協議していくべきである。

9.教職員との関わり方について
 地域が学校における人権・同和教育を理解し、支えていく学社融合の態勢が求められている。その観点から、教職員も積極的に住民学習に参加するよう、関係機関に要望するべきである。
                                          以上


住民学習検討委員会委員
 委員長   丸山好−
 副委員長  大路 靖・藤本まり子
 委 員   室谷昭一・小林武男・藤井良一・小西久幸・水船 徹・清水 充
       藤田泰造・安井利昭・貫井三男・植村 満・小山通夫・岸本厚美
       飯田成代・本庄正子